運転中にイヤホンを使えるかどうかは、道路交通法に「イヤホン禁止」と書かれているかではなく、安全運転義務と、都道府県ごとの規則で決まります。確認した京都府と神奈川県では、安全な運転に必要な音や声が聞こえない状態での運転が禁じられていました。
この記事は一般的な情報の整理であり、法的な助言ではありません。実際の規則と運用は、お住まいの都道府県警察の案内で確認してください。
イヤホンの扱いは法律の本文ではなく、都道府県の規則に書かれている
道路交通法の第70条は、運転者に「確実な操作」と「他人に危害を及ぼさない速度と方法」での運転を求める安全運転義務の条文です。条文にイヤホンという語は出てきません(道路交通法・e-Gov法令検索、2026年10月19日に確認)。
イヤホンに関わるのは、第71条の「運転者の遵守事項」です。その第6号が、道路や交通の状況に応じて公安委員会が必要と認めて定めた事項を守るよう求めています。公安委員会は都道府県ごとにあるので、中身も都道府県ごとの規則になります。違反には5万円以下の罰金が定められています(同じ法律の第120条第1項第10号)。
実際の文言を見ましょう。京都府道路交通規則の第12条第12号は、次のように定めています。
大きな音量でカーラジオ等を聞き、又はイヤホン、ヘッドホン等を使用しているため、安全な運転に必要な交通に関する音又は声を聞くことができないような状態で車両等を運転しないこと。 (京都府道路交通規則)
ただし書きで、難聴者が補聴器を使う場合などは対象外とされています。神奈川県警察も、自転車のルールをまとめたページで「イヤホンの使用等で周囲の声や音が聞こえない状態での運転は禁止」と案内し、根拠を道路交通法第71条第6号と県の施行細則としています(神奈川県警察)。大阪府警察の自転車向けチラシにも、大阪府道路交通規則の項目として「ヘッドホン等の使用」が載っています(大阪府警察)。
つまり、確認できたのは京都府と神奈川県の2府県です。全国一律のルールとは書けませんし、ほかの県の条文はここでは読んでいません。
「聞こえない状態」がどこからなのかは、条文からは決まらない
京都府の文言が問うのは、イヤホンを着けているかどうかではなく、「安全な運転に必要な音や声が聞こえない状態」になっているかです。
そう読むと、耳をふさぐ形のイヤホンで音量を上げるほど、その状態に近づきます。反対に、片耳だけならよいのか、耳をふさがない形のイヤホンならよいのか、といった線引きは、確認した公式ページには書かれていませんでした。ネットには「片耳ならOK」という解説もありますが、公式の根拠は見つけていないので、ここでは採りません。
迷うなら、警察の案内に当たるのが確実です。調べ方は記事の終わりに書きました。
スマホの画面を見ながらの操作は、別の規定にも関わる
イヤホンとは別に、道路交通法第71条第5号の5が「ながらスマホ」を禁じています。停止中を除き、自動車の運転中に携帯電話を手で持って通話に使うこと、車に取り付けた画像表示装置の画像を注視することが対象です。
Audibleを運転中に画面で操作する行為は、この規定に近い場面です。Audible公式ヘルプも、アプリを運転中に操作しないよう明記しています。法令や交通規制で許され、安全な場合に限って使うよう求める書き方です(Audible公式ヘルプ:車で聴く、2026年10月19日時点で確認)。
車のスピーカーで流す場合も、音量は気にしておく
イヤホンの代わりに車のスピーカーで流す方法は、耳をふさがない点で現実的です。AudibleはCarPlay、Android Auto、Bluetooth、USB、AUXでの接続が案内されています。つなぎ方はオーディブルを車で聴く方法で手順ごとにまとめています。
ただし、スピーカーなら安心とも言い切れません。京都府の条文は、大きな音量でカーラジオ等を聞いている場合も並べて書いています。サイレンやクラクションが聞こえる音量に抑えるのは、スピーカーでも同じです。
目安は「窓を閉めた状態で、同乗者との会話が普通にできる音量」あたりでしょう。これは一般的な目安で、確認した規則に数値の基準が書かれているわけではありません。
運転前に済ませたいのは、作品選び・ダウンロード・速度の3つ
運転中の操作を減らすには、乗る前の準備が効きます。
- 作品を選んで再生を始めておく。 車内で画面を触らずに済みます。
- ダウンロードしておく。 走行中に電波が弱い場所を通っても途切れにくくなります。やり方はオフライン再生の設定にまとめました。
- 再生速度を決めておく。 走行音のある車内は、部屋より聞き取りにくく感じます。倍速は倍速再生の設定方法のとおり、停車中に変えます。
アプリには「車内モード」もあります。公式ヘルプによると、画面のボタンは「再生/一時停止」「30秒戻す」「ブックマーク追加」「Alexaタップトゥートーク」の4つだけです。音声コントロールをオンにすると、AlexaやSiriで「3分戻して」のように頼めます。設定の「再生画面」で車内モードをオンにすると、Bluetooth接続時にプレーヤーが自動で起動します。
ボタンが少ないのは、画面を見る時間を減らすためです。操作してよいという意味ではないので、車内モードに入るのも停車中にしておきます。
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操作したくなったら、安全な場所に停めてから
聴いている途中で「前の章に戻したい」「別の本に替えたい」と思うことはあります。そのとき画面に手が伸びないよう、先に決めておくのが現実的です。
第71条第5号の5の書き方は「停止しているときを除き」です。ただ、信号待ちがここでいう停止に当たるのかは、条文だけでは判断がつきません。迷う場面では、コンビニの駐車場やサービスエリアなど、車を安全に停められる場所まで待つほうが確実です。
同乗者がいるなら、操作を頼むのも手です。頼む側も画面を目で追わず、短い声かけで済ませます。ひとりのときは、操作が要りそうな区間(長い渋滞、休憩の前後)をあらかじめ見積もり、再生を止めて休憩のたびに設定を見直すと、走行中の「ちょっと触る」が減ります。
運転中に聴く本は、集中を取られにくいものを選ぶ
同じ運転中でも、聴く内容で負担は変わります。数字の多い解説書や、聞き逃すと筋が追えなくなる複雑なミステリーは、運転と同時に頭を使います。
運転向きなのは、聞き逃しても話が戻らない、エッセイや短編集、慣れた作品の聴き直しです。当サイトのながら聴きシーン別活用術では、運転など安全確認が必要な場面の速度を1.0〜1.3倍としています。聞き取りに集中しなければならない速さは、運転中は避けたほうが無難です。
筋を追うのに集中が要る作品は、停車中や家に着いてから聴くと決めておくと、運転中に「いま何て言った?」と画面を戻したくなる場面が減ります。
自転車・バイク・電動キックボードでも、イヤホンの注意は出ている
この記事は自動車の運転を想定していますが、規則の対象は「車両等」と書かれていて、自転車も含まれます。大阪府警察の自転車向けチラシは、ヘッドホン等の使用を遵守事項の項目に挙げています。警視庁も、特定小型原動機付自転車(電動キックボードなど)について、イヤホンで音楽を聴くなどして周囲の音が聞こえない状態での運転は危険なのでやめるよう案内しています(警視庁)。
通勤で自転車に乗る人は、乗っている間は聴かず、駐輪場から職場までの徒歩の時間に回すほうが安全です。
お住まいの地域の規則は、都道府県警察のサイトで確認する
自分の地域の規則を知りたいときは、次の順で探すと早く見つかります。
- 「(都道府県名) 警察 イヤホン 運転」で検索し、警察の公式サイトのページを開く
- 根拠として書かれている「道路交通規則」または「道路交通法施行細則」の名前を控える
- 都道府県の例規集で、その名前の条文(運転者の遵守事項)を読む
- 判断に迷う使い方があれば、最寄りの警察署に問い合わせる
自転車向けの案内は多いのですが、規則そのものは自動車にも及ぶ書き方(京都府は「車両等」)でした。自転車のページしか出てこなくても、条文は自動車の分も確認してください。
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まずは運転前に1冊選び、近所の慣れた道で音量を決めてみてください。音量が決まれば、運転中に触るものはほぼなくなります。
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